宿について

歩き遍路の場合、宿泊はいわゆる遍路宿と呼ばれる宿泊施設を利用することが多くなります。
全区間歩き遍路にこだわる方が大半でしょうから、夕方にバスなどで都市部へ移動して宿泊、翌日には終了した場所からリスタートという考え方もありますが、バス·電車の便は全く柔軟性に乏しく、移動時間も無駄になります。

そのため必然的に遍路ルート上の遍路宿の利用が中心となります。

宿に関する評価はネット上では色々ありますが、私としては食事·風呂·布団で寝ることの三つが叶えられれば全く不満は無いので、宿泊施設ごとのいい・わるいというコメントは持ち合わせていません。

不評な方のコメントに料金(の高さ)に触れているものも多くありますが、高いと言っても1泊で1万円以上という訳でもないのですから、民宿としては妥当だと考えています。

遍路宿は例外もあるもののいずれも相当にご高齢の方が運営しているので今後は徐々に廃業の可能性も出てくるものと危機感を感じています。「かつてはあの場所に遍宿があってよかったのに」ということになってしまうよりも、とにかく長く続けていただきたいものです。

市内であればビジネスホテルも選択肢に入ります。夕食が出ない代わりにチェックイン時間のプレッシャーからは解放されるので、心理的な不安なくホテル18:00着などの計画も立てられます。

何軒かは記憶に残る宿もありました。簡単に一口コメントをしていきます。

【風呂が汚い】
洗い場の排水溝には髮の毛が沢山残っており、シヤンプー、石鹸は残りがほぼ無くなっており、どうやって洗ったらいのかわからない。
女性であれば耐えられないかもしれません。

【食事】
もっとも記憶に残るのはビジネス旅館小松の肉鍋です。
温泉旅館のコースかと思えるような鍋がー人毎に準備されて出てきて、おもわずビールを頼んでしまいました。山代屋も老舗旅館にふさわしい伝統的な「鯛めん(鯛そうめん)」が出てきて珍しいものをいただくこととなりました。
一方、豆腐屋さんが経営している民宿来楽苦は徹底的に豆腐·こんにやく尽くし。私は全く気になりませんでしたが、同宿の男性は翌日文句を言っていました。

【温泉】
風呂が温泉であれば最高なのですが、歩き遍路のルート上ではなかなか該当がありません。六番安楽寺の宿坊は山号が温泉山というだけあって温泉でした。
道後地区はせっかくの温泉街なので石手寺前後で歩く距離を調整してぜひ泊まっていきたいものです。

【耐えられなかった宿】
日誌に宿泊した宿の名称を一か所だけ記載していないところがあります,詳細はご覧いただくとして、さすがにこれは耐えられないと感じました。
しかし女将さんはとても親切な方でした。今後は高齢者がゆえに設備や手入れなどが破たんしてくるケースも多くなってくるように思われます。

【洗濯】
一回100円で有料、または乾燥機のみ有料のところもありましたが、民宿·遍路宿は「お接待」として無料で洗濯していただけることが多いです。
ビジネスホテルは要注意です。ホテルのホームページ等で「コインランドリー有」になっていても使わせてもらえなかったところもあり、そうなると風呂場等で手でゴシゴシと手洗いということになります。こうなるときちんとした脱水は望むべくもなく、別項でも記載した通り乾燥の速さを考えるとやはり下着類は化繊がいいでしょう。

【相部屋】
民宿·遍路宿に関しては事前に相部屋は覚悟していましたが、全行程を通じてたったー回だけでした。人生初の経験でしたがなかなか落ち着かないものです。
本来遍路宿は相部屋覚悟が原則のはずですが、事前に予約をしていればほぼ避けることが出来るのではないしょうか。