第五回 四日目


※日誌の写真には位置情報(Exif情報)が付いています。移動時の目安や宿・食事場所の確認などにお役立てください。


2009年7月21日(火)

5:40
出発。
見送りは結構ですと昨晩言ったのだが、女将さんは玄関まで出てきてくれた。
結局、この宿はへんろみち保存協力会が言うところの経営者が高齢化して細かいところに気が回らなくなった民宿のうちの一つに過ぎないのかもしれない。
昨晩、一階から聞こえてきた話声からすると、ご主人とお二人での経営のようだ。後継者がいるようにも思えず、これ以上の設備の改善は望むべくもなく、何年かすると廃業になるのだろう。
しかし、室戸市の市役所がある大通りの宿泊所がこれというのもやや複雑である。

6:30
旧道沿いに、「室戸市移住体験住宅」なる建物があった。
少々小ぶりの戸建住宅である。東京に戻ってインターネットで調べると、Iターン、Uターンのため高知県が推進しているプロジェクトの一環のようだ。でも、これ、東京の基準でも少々狭いように思うが。。


6:40
金剛頂寺の登山口到着。


いよいよ内陸部に入ってまたもや登山。
途中、木々の切れ目から見える風景は絶景。天気は回復してきている。


7:04
第二十六番金剛頂寺到着。
意外と早く着いた。ここまで雨は何とか大丈夫だ。時間も早いため本堂のお灯明は二本が確認できるのみ。しかし、私が納経の準備をしているとお寺の方が、火がついているにもかかわらずロウソクを水の中に「ジュ」っという音をさせて、平気でたたき落として掃除をしている。
相当に興ざめである。誰も居ない時間帯にするとか、そういったことは出来ないだろうか。


7:49
金剛頂寺出発。
歩き遍路の道はくねくねと曲がる旧道を下り、国道まで西にショートカットすることになる。


この道はとても気持ちがいい。
天気はあいかわらず曇り空であるが、田んぼも畑も緑でいっぱいである。


8:20
国道に合流。
「道の駅キラメッセ室戸」は今日は休業のようだ。おみやげでも買おうかと思っていたので残念。


9:00
吉良川の町並みをテクテクと歩く。
旧い民家が点在しており、保存地区になっているようだ。当時からの商売をそのまま継承していると思われるものもあるが、しっくいがボロボロで復旧中の民家も多い。
一軒、とてもモダンなデザインもパネルが入り口に掲げられたカフェがあった。時間が早いせいか中は窺いしれなかったが、このように再利用されている民家は少ないように思えた。



9:35
町並みを抜けたところの休憩所で休憩。
雨がポツポツと降り出し、もう、ポンチョ無しでは無理だ。雨具を着て出発。


11:40
羽根岬。
国定公園とのことだが、何も無い。後で調べたところこの岩場が古代の痕跡を残すジオパークになっているようだ。
岬とは看板があるが、小さな港があり、その先に赤い鳥居をくぐって下の岩場に降りられるようだ。天気が悪いこともあって遠慮する。


12:07
奈半利町に入りすぐの箇所に、「弘法大師霊跡」がある。
お堂の屋根の張り出し部分で雨宿りが出来そうだ。小休止する。
お堂の中には岩があり、ここは弘法大師の修行の地だそうだ。確かに神秘的なものは感じた。


12:52
ドライブイン「なぎさ」到着。
今日は朝・昼食とも抜くつもりだったのだが、猛烈に空腹を感じここを楽しみにしていた。幸い営業中である。


みそラーメンを注文する。
美味。濃い味付けの食べ物は久しぶりなので、ただただ味が「濃厚」と感じる。冷房が気持ちよく、すぐに出たくないので、アイスコーヒーも注文し、しばらくのんびりする。


14:29
奈半利川手前の休憩所で休憩。
雨が本降りでややげんなりする。ポンチョを来ていても汗でびしょ濡れ。正直、歩きたくない。


14:41
「道の駅田野駅屋」で休憩。今日は休憩ばかりだ。
奥に見えるのは土佐くろしお鉄道 ごめん・なはり線 田野駅。


15:17
安田町に入る。
もうすぐ神峯寺だが、何しろ「真っ縦」で有名な急勾配だそうなので、今日はスローペースだったこともあり、この時点で今日の参拝はあきらめようかと思い始める。
進むにつけ、海岸線が国道に迫ってくる。相当大きな重機が砂浜に入り、大規模な工事中で消波ブロックを敷き詰めているようだ。あまりの手際のよさにしばし見とれる。


16:00
浜吉屋到着。
この時間では第二十七番神峯寺の参拝は無理とあきらめる。出てきた女将さんは噂通り、かわいらしいおばあちゃんである。しゃべり方が独特なのだ。


もう少し小さな民宿を想像していたが、通された部屋は、内装に手を入れたのか畳や、冷房設備は明らかに新品で、テレビに至っては、液晶の地デジ対応で驚く。
部屋は一人として十分な広さ。隣の部屋とはふすまで区切られていて大人数の場合は大部屋になるようだ。隣の部屋の音が筒抜けだが神経が図太いので全く気にならない。
隣も含め、ほぼ宿泊客全員がお遍路さんのようだった。一方、風呂場や、洗濯機は旧態としたもので、昨日との比較で言うとここも経営者の高齢化問題はあるものの踏みとどまっている感がある。


複数の建物がつながっている。自分の部屋はどうやら新館(?)のようだった。


17:55
夕食。なんだか段々と夕食の時間が早くなる。
同席者は、自分以外は男性二名、女性二名。男性のうち一人は自動車遍路であることが翌日判明する。
他は皆歩き遍路である。部屋に戻って外を見ると雨は止む気配が無い。これは曇りという天気予報はハズレだろう。
当日の深夜、外は目が覚めるほどの轟音で雨が降った。明日の山道は大丈夫だろうか。


歩いた距離:28.9km